仙台高等裁判所 昭和24年(を)475号 判決 1949年12月20日
被告人
堰合勇雄
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役壱年六月に処する。
但し本裁判確定の日から四年間右刑の執行を猶予する。
理由
弁護人國分丸治の控訴趣意は別紙の通りであり、これに対する当裁判所の判断は次の如くである。
刑法第六十條にいわゆる共同正犯たるにはその数人間に共同加功の意思即ち犯意の連絡があると認め得る場合であれば足り、必ずしも所論の如く実行行爲開始前に予め共謀したる事実あることを必要としない。いま本件についてこれを見るに原判示事実とその証拠によれは被告人は原審相被告人板橋與助が被害者坂本秀雄を本件現場に連行するのに追随し、剩え現場に於て交々被害者に暴行を加え以て互に他の一方の行爲を利用し相協力して本件犯罪事実を実現せしめたものであることが看取し得られるから被告人には本件犯行に対するいわる共同加功の意思があつたことは明白であり共同正犯としての罪責を免れないことは勿論である。されば右と同趣旨に出でた原判決には何等事実誤認または理由不備もしくは審理不盡の違法がなく此の点に関する論旨は理由がないのである。
以下省略
〔註〕 量刑不当にて判決破棄自判。